アトピーを理由に仕事を休んだり会社を辞めてもいいの?

アトピーの人は「仕事、休みたいです」「会社、辞めたいです」と、辛くても言えない

夏の日差しに当たる会社員

アトピーを抱える人は、「アトピーを理由に仕事を休んだり、会社を辞めることに気が引ける」ものです。

他の病気ならば素直に「休みたいです」「会社辞めたいです」といえます。

だが、アトピーの場合、それができない。

だって、

アトピーを理由に「休みたいです」なんて、気が引けて会社にいえないから。

自分がアトピーであることを認めたくないから。

私もギリギリになるまでこらえて、限界を超えてから会社を辞めました。

その時の身体の状態は入院一歩手前でした。

痒みが激しく仕事に集中できないのはもちろん、

「動悸が激しい。息苦しい」

「乾燥肌が猛烈に激しくて、

冷房がキンキンに効いた職場に1分もいられない」

こんな極限状態になって、やっと「働くことができません」といえました。

そう、アトピーは身体が動けなくなるまで、働いてしまうのです。

前もって、会社を休んで、体を休ませるなんて発想は微塵もございません。

それがアトピー患者の胸の内です。

写真はアトピーで退職当時の私です。

アトピー症状期間中と完治後の写真

左側がアトピーで会社を辞めた当時の写真です。右側が完治した現在の様子

会社を辞めたのは2001年の8月の真夏。

人生、3度目の激悪化でした。

5月に発症して8月に辞めるまで3か月も耐え忍んでいました。

3か月間、地獄でした。

朝のきつい日差しが地獄が始まる合図でした。

窓ガラスで増幅された日光がアトピーの肌を切り刻みます。

身体は寝ている間にかいた汗でびっしょり。

掻いた傷が汗で沁みる。

もう痛くて身体が動かない。

首も回らない。全身の掻き傷に汗が沁みて痒くなる。

でも、動かないと会社に行けない。

朝ご飯を食べる。食べたら汗をかく。また痒くなる。

顔が暑い。もう目の周りは真っ赤になっているはずだ。

今日も鏡に浮かぶ自分の顔を気にしてしまう。

シャツの袖に腕を通す。すぐに汗でベタベタになる。

上着を着ると一気に身体が火照って熱を感じる。

汗がじわっと感じる、とたんに痒みが激しくなる!

気づけば、せっかく着たシャツを脱いで、身体を掻き毟っている! 

早くしないと遅刻だぞ!

でも、

もう、こうなれば終わり。動けない。

他人がこれを見れば「なにをしているんだ。おまえ」っていわれるはずだ。

痒みだけでなくて、どっと身体に気だるさを感じる。

もう心が陰鬱、寝込みたくなる。

ほんと夏の日の朝は地獄でした。

しかしながら、

周りの職場の人たちは、アトピーの人がこんな想いをしているかなんて気づけないものなのです。

アトピーの辛さ、あなたの上司・同僚は気づいていない

さて、

ここまで書いたあなたの辛い心境やアトピーの猛威を、

あなたの職場の上司や同僚は知っていると思いますか?

知るわけありません。

つまり、「アトピーが辛くて、それは勤務ができないほどだ」と、いわないと理解されません。

ここがアトピーと他の病気の違いです。

他の病気だと「会社を休む、あるいは辞めること」に同意してもらえやすい。

しかし、

アトピーは辛いけど歩けるし、手も使えるのです。動くことができるのです。

ここが違うのです。身体を動かすことができるのです。

なかなか上司からすると「辛いのはわかるけど、働けるでしょ?」となる。

あなたが自分の辛さを上司にいったとしても、

口には出さないがこう思われるに違いない。

「休んでもらっては困るんだよね」

「今、人が足りないし」

「なんとかしてもらいたいな」

「ステロイド塗らないの?」

「病院に行ってないの?」

「薬塗ればすぐに治るでしょ?」

 アトピーの辛さは目に見えません。よって会社はそれを理解できないのです。

ですから、ずばっと「休みたいです」あるいは「辞めます」と伝えましょう。

遠慮しながら伝えると、押し切られるかも知れませんからね。

「うーん。辞めないでほしいな」

「こっちも大変なんだよ」

「人が足りなくてね」

「もう少し頑張って! ね!」

「アトピーに良いもの教えてあげるよ!」

そういわれると、頼られているようで嬉しくなる人が多いです。

だから、休みたいのに休めない……! ことになっていく。

そして「仕事を休む」「辞める」と言い出せないあなたがいる

会社員

会社はアトピーの辛さを理解しないのと、あともうひとつ、

アトピーが他の病気と大きく違う点があります。

それは、当の本人が「動けるし。私はまだ頑張れる」と思ってしまうこと。

あるいは、

「ひょっとして来週になれば治っているかも」

「仕事を休んで家にいると、張り合いがなくなって、逆に治らないかも」

と、思ってしまうのです。

これは他の疾病や障害ではありえない患者の考えですよ。

実際、私も会社を休むという発想がありませんでした。

ずっと顔を真っ赤にカサカサにさせて会社に行ってました。

みんなの目線ですか? 厳しいに決まっているじゃないですか。

女性社員さんが私の机を雑巾で、ふいてくれるのですが……それは辞める間際でしたかね、

その女性社員さんがこんなことをいうのです。

「渡辺さんの机って皮が落ちてるので、床に落とさないようにして掃除をするのが大変なのです」

と、みんなの前で、いわれたことを今でも覚えています。

ショックだったか?

いいえ。

ただただ身体がしんどかったので気にする余裕がありませんでした。

また、仕事現場に行った時、「まあタイヘン! タイヘン! なんであなたみたいなのが来たの!」と、

取引先の初対面の女性スタッフにいわれたことも昨日のように覚えています。

さらに、上司の課長に「おまえそのアトピーの赤い顔! どうにかしろや!」と、いわれても、

私は会社を辞めませんでした。

それはなぜでしょうか?

手も足も動けて歩くことができたからです。

動けますから! 営業できますから! デスクワークできますから! パソコン打てますから!

アトピーの人は我慢強い。だから休めない!

本当は辛いのです。

出勤前の朝なんて地獄ですから。

しかし、アトピーの方は我慢強いのです。

さらに、自身の深刻な状態を否認しがちです。認めたがらないのです。

私も自分の気持ちを麻痺させて働いていました。

だから、なかなか休もうとしない。

よって、入院一歩手前になるまで「ギブアップ」といえないのです。

そういえば私はある団体の簡易な保険に入っていましたけど、

疾病見舞金を請求しなかったですね。

どこかしら「アトピーは病気じゃない」って思い込んでいたからです。

しかし、

身体が動かなくなり動悸が激しくなって、白旗を上げました。

社長に退社を願った次の日から会社に行きませんでした(行けませんでした)。

ギリギリまで頑張ってしまったのです。

これが大事! 「あなたはどう思いたいのか? どうしたいのか? どう生きたいのか?」

未来の選択

ひょっとして、今のあなたはこう思っているかも知れませんね。

「会社を辞めたってアトピーが治るわけないし……」

「仕事を辞めて家にいるのは惨め(みじめ)だ」

「そんな無職の惨めさを味わうくらいなら会社にいたい」

「仕事をやめて家にいても生活に張りがなくなるのが怖い」

「家で鬱積を抱えていれば、余計にアトピーは悪化するのではないか?」

「再就職できるかどうかわからないし」

「仕事せずに家にいたら両親に迷惑かけるし……」

「ならばしんどくても会社を辞めない方がマシだ」

では、

ここで、あなたの過去の自分を振り返ってください。

「やるか・やらないか」の選択の際、

「やらない」を選ぶことが多かったのではありませんか?

しかし、それでは何も得られないのです。

アトピーは働けなくなるほど深刻な病気です。

これをまず認めましょう。

そして、

会社を休みたければ、休めばいい。

辞めたければ、辞めればいい。

上司の理解なんて不要です。

そして逆に、

会社を休まない、辞めない道を選んだあなたへ。

その休まない、辞めない選択の理由が「何かを失いたくないから」「何かを避けたいから」であるならば、

「あなたの身体」は「あなたのその選択」によって「組織や他人に捧げられた」と、思っていることでしょう。

「何かを失うのが怖くて」「何かを避けたくて」といった基準で身の振り方を選択しているからです。

そこに、あなたの主体性がないからです。

そうではなくて、

あなたがどう思い、何をしたいのか? 何をつかみたいか?

ご自愛専一でいいのではないでしょうか?

それでも、先行きが不安だと思います。

では私が会社を辞めて、アトピーをどのように治していったか?

それは、ある考え方が基礎になりました。

このあたりのニュアンスは完治経験者しかわからないかと思いますので、

アトピーを治すとはどういうことなのか?

これを解説した関連ページ⇒アトピー完治のメカニズム「アトピーの本当の意味」を知らないといくら対策をしても治らない理由とは?

をお読みください。

特定非営利活動法人
日本成人病予防協会会員
健康管理士
ワタナベ勲

アトピーの夏を乗り切ろうとしているあなたへ

夏の太陽

アトピーがつらい季節になりました。

7月にはいって全国的に35度を超える猛暑日が続いています。

昨日、電車に乗っていましたら、前の席の男性が辛そうにされていました。

私はかつて苦しんでいたアトピーの頃のじぶんを思い出しました。

ただでさえ顔や首がほてるのに、夏の暑さが追い打ちをかけます。

あの首の後ろ、後頭部にかけて熱がずっとまとわりつく。

そして、

掻きだしたら止まらなくなる。

そうなれば、

もう誰にも口をききたくない。

表情も硬いから「怒ってるのか?」と、よく友人からいわれたものです。

女性なら薄着になれて夏のおしゃれを楽しみたいですよね。

水着までいかなくても半そでになって腕をだしたい!

なのに!

ひざ裏も見せられない!

さらに、ファンデーションもできない。

そして、あの職場の冷房。あれはアトピーでない人には理解できないかも。

私もありました。室内の乾燥で顔がバキバキになってじっとしていられない。

だから、たとえ暑くても外の湿気を含んだ熱風の方が過ごしやすくて、

よく職場を離れてひとり猛暑の中をさまよってました。

でも、暑いからすぐに冷房のあるコンビニにはいってしまう。

が、1分もいられない!

だってコンビニの冷房の猛烈な乾燥に耐えられなくなるから!

こんなどこにいっても、なにをしても辛いあの「アトピー3度目の激悪化の夏」でしたね。

それから、どうなったかは、また別に書きますが、

あなたは、みんながしている夏の愉しみができない自分を責めてませんか?

わかります。お気持ちはよーくわかります。

なかには、もっと仕事に励む人がいます。

「こんな自分は嫌だ!」

「前の自分ならもっと動けたし仕事できなのに!」と、

自分を責める人もいます。

そんな方にお会いしたことがあります。

痛々しいです。

切なささえ感じます。

つまり、

「楽しい夏なのに! なのに自分ときたら!」

「もっと働けるはずだ!」って、

これって理想と現実のギャップに苦しんでいるわけであって、

そこまで思ってしまうと

アトピー以上の苦しみを

味わうことになりますよ。

だから、

アトピーという状態を受け入れて、

できないことはできない、

やれる範囲を明確に決めて、

休みながらやる。

そんな夏を過ごしてください。

それでも痒みや汗でしみるヒリヒリはつらいですよね。

なんとかしたいあなたのために家の中でアトピーの本質を学べるテキスト教材を用意していますので、

お読みください。

こちらで、その説明をしています。

アトピー完治のメカニズムを書いたテキスト教材はこちら